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2つの医療者と人生会議について

[2025.10.27]

今日は、2つの医療者と人生会議について、私の考えをお話ししようと思います。

在宅医療は、患者が最善と考える生き方や生活に寄り添い、病気の治療などの医療だけでなく生活や家族、人生など幅広い視点で患者が満足するためにサポートするオーダーメイドな医療です。

だからこそ、患者自身が抱く「自分らしさ」を大切にすることや、患者の気持ちに寄り添うことは在宅医療の根幹に関わる大きな命題と考えます。

医療者には大きく2つのタイプがいると思います。

“Doing”(施す医療)の人と、“Being”(支える医療)の人の2タイプです。

 

“Doing”の医療者は、業務を行うために病室を訪れる医療者です。

具体的には、「はい、体温を測ります」「採血しますよ。先生の診察ですから周りの人は部屋の外に出てください」などと、声掛けをして、てきぱきと業務をこなす医療者と言ったイメージです。

 

一方で、“Being”の医療者は患者一人ひとりの思いや気持ちを聞き取り、患者の考えを理解しようとする人です。

ですので、”Doing”の医療者には、しんどい気持ちや、苦しい気持ちを吐露しにくいことは想像できますし、皆さんも体験されたことがあるのではないでしょうか?

 

在宅医療を提供する際は、患者の立場に立ち、できるだけ気持ちや思いを聞き取り、その人にとっての最善を実現できるように(=亡くなっても患者家族が満足できるように)支えることが求められます。

残念ながら、医療は未熟で不完全なものですので、後遺症や副作用なく患者さんが病気から全員復帰することは現在の医療レベルでは不可能な現実があります。

決して安くない医療費を払って、突きつけられた現実は、治癒困難。

その時に、最終的に、「治りたい、元気になりたい」という思いと、今ある現実との差を何で埋めるのか…。

 

今の時点での私なりの答えとしては、「患者さんご自身(と御家族)の納得」だと考えています。

 

“Doing”と”Being”の医療、この両者をバランスよく持ち合わせることがとても大切なんだと思います。

東海大で常勤として、脳神経外科全般、特に悪性脳腫瘍治療に携わりながら、無意識に心掛けて参りました。

それが、私の医師としてのポリシーであり、当院の診療ポリシーの一つである、「生きることの肯定」につながってます。

 

では、そのために、大切なこと。

ACP(Advanced Care Planning = 人生会議)なのです。

 

これは、「病状や現在の生活状況と今後の見通しに合わせて患者さんが(それを支えるご家族が)どう過ごしていきたいかの目標を、医療を支える多職種で情報共有しながら、その都度何度も話し合いをしながら計画立てていく話し合い」で、私が特に大事にしていること、それは、「何度も行う」「いつでも変更可能」この2点です。

もちろん、面談室や、居室で、多職種同席で行うことも大事ではありますが、個人的には、敢えて、形式ばって、ACPを行わなくても良いものだと考えております。

普段の他愛もない雑談の中で、「今後こんな感じの経過が予想されるけど、○○さんはどうしたい~?」と言った感じのものでも、ACPのヒントになる情報はたくさんあるものです。

故、一つの疾患の下(共有する目標の下)で、私は、患者さんも医師もその他他職種も対等に心を通わせられるよう心がけています。

 

戦後、日本の医療はとにかく病気を早く見つけて治すという視点が重視され、治し施す医療すなわち”Doing”の医療として発展してきました。

それに伴い、医療者は患者の病状を客観的に評価し、治すことを最優先にした医療を提供するために私含め、研鑽を積んできた現状があります。

高齢化に伴い、在宅医療が普及し、障害や病気を持っていても、自宅や住み慣れた場所で療養し、看取りまで行える“Being”(治せなくても支える)な治療がより求められるようになってきている昨今。

 

当院では、脳神経疾患に特化した外来と訪問診療を提供するクリニックとして、県央地域の皆様の「医療と心の支え」になれるよう、人材・後進育成含めて、頑張って参りたいと思っております。                       

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