血圧管理の目標値
血圧管理の目標値って、皆さんご存じですか?
なんとなく、ざっくりと、これくらいかな?っていうのを感覚的に知っている方と、しっかり、数値としてご存じの方と、実は自分の中での普段の血圧=「自分にとっての」正常値として認識されている方とまちまちだと思うんです。
そこで今日は、我々が外来で患者さんを診させていただく際の正常値について簡単にご説明させていただこうかともいます。
…そのまえに!!
なぜ血圧を高いまま放っておくと、良くないのか。
血圧が高くても、ほとんどの人は自覚症状はありませんが、気づかぬうちに血管の動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病を起こすことがあるからです。
腎機能に対しても良くないです。
例えば、外に置きっぱなしのゴムホースと同じ状況になって、水を撒こうと圧をかけたときに、ホースが割れて途中から水が噴き出した状態が脳出血と同じ状況です。
令和元年度厚生労働省の医療給付実態調査報告書によると、
脳卒中(脳血管疾患)
- 推計平均在院日数63.67日
- 入院1日当たり医療費33,533円
- 推計1入院当たり医療費2,136,490円
心臓病(虚血性心疾患)
- 推計平均在院日数9.99日
- 入院1日当たり医療費98.236円
- 推計1入院当たり医療費981.542円
となります。めちゃ高額です。
何より、場合によっては後遺症などにより著しく活動性が制限されることが一番悲しいことです。
なので、血圧管理は大事なんです。
動脈硬化によるものや、もともと家族性のものなど、原因は様々ですが…
いずれにせよ、高血圧の増悪因子は喫煙と生活習慣病となりますので、禁煙や塩分制限、体重減量や食生活の改善がとても大事にあります。
その具体的なお話はまた別の機会で。
んで、血圧管理における降圧目標値ですが、
75歳未満…家庭血圧125/75mmHg未満
ただし、脳血管障害(両側内頚動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)・慢性腎臓病タンパク尿陰性の場合は、家庭血圧135/85mmHg未満と少し高めの設定。
75歳以上…家庭血圧135/85mmHg未満
ただし、脳血管障害(両側内頚動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)・慢性腎臓病タンパク尿陰性の場合、冠動脈疾患、糖尿病、抗血栓薬服用中の場合は、家庭血圧125/75mmHg未満
診察室での血圧目標値はこれらの値に収縮期血圧(上の血圧)が+10mmHg、拡張期血圧(下の血圧)が+5mmHg 足した値になります。
いずれの場合も厳しめの目標値は125/75未満ということですが、血流が悪くなると弊害が出るパターンもあるため、主治医に確認が必要です。
まだまだ、寒い時期は続きます。皆さん、ヒートショックに気を付けて、しっかり健康被害の観点でも、経済負担の観点でも、血圧管理心掛けてくださいね。
当院でも脳の疾患と関連のある高血圧や糖尿病等の診療を行っております。
インターネットからの簡単予約も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。