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てんかん

このページを書いた人:副院長 今関 良子

  • 日本神経学会認定 神経内科専門医・指導医
  • 日本認知症学会認定 認知症専門医・指導医
  • 日本内科学会認定 内科認定医・指導医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医
  • 日本頭痛学会認定 頭痛専門医
  • 日本医師会認定 産業医

 

【海老名・座間・綾瀬・厚木エリアで、てんかんではないかとご心配な方へ】

当院では、脳神経内科・脳神経外科の専門医がてんかんの診療を行っており、プライマリ・ケア(初期診療)の窓口としてご相談をお受けしています。

症状のご不安がある場合は、お電話でのご相談も可能です。

必要に応じて、より専門的な医療機関や検査へのご案内も行っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

 

このページでは、てんかんに関して以下の内容をわかりやすく解説しています。

てんかんとは

てんかんは、脳の中の“神経の電気の流れ”が一時的に乱れることで、発作が繰り返し起こる病気です。

「意識をなくし、口から泡をふき、手足をつっぱらせた後、ガクガクとけいれんする」───

このような全身のけいれん発作がよく知られていますが、実際にはもっと多様な症状があります。

 

たとえば、以下のような一見軽い症状も、てんかんによる発作の一種です。

  • 数秒間ぼんやりして動きが止まる
  • 手足の一部がぴくぴく動く
  • 意識はあるけれど、反応が鈍くなる

 

発作の多くは通常5分以内に自然におさまるため、目撃しても慌てず、落ち着いて見守ることが大切です。

日本では、約100人に1人が生涯のうちに1回はてんかん発作を経験するとされており、決してまれな病気ではありません。

 

【保存版】てんかん発作が起きた時の正しい対処法

① 押さえつけない

発作中のけいれんに驚いて体を抑え込もうとする方もいますが、無理に押さえつけるとケガや骨折の原因になることがあります。

発作は多くの場合、数分以内に自然におさまりますので、見守ることが大切です。

② 安全確保

倒れた場所に危険がないか確認し、頭を打たないようにクッションなどを当てて横向きに寝かせましょう。

吐しゃ物が喉に詰まらないよう、頭を横に向けることが大切です。

③ 時間計測

発作の時間は診断・治療に重要な情報です。

スマートフォンなどで開始時間を確認し、1分以上続いた場合は記録しましょう。

目安として、5分以上続く場合は「てんかん重積状態」と呼ばれ、緊急対応が必要です。

④ 動画撮影

可能であれば、発作の様子を動画で記録しておきましょう。

医師にとって診断の重要な手がかりとなります。

とくに「けいれんの有無」「体のどこから始まったか」「意識の有無」などは、後からでは正確に思い出せないことも多いため、映像記録が役立ちます。

⑤ 緊急時の判断

「5分以上続く」「呼びかけに反応がない」「けいれんがおさまっても呼吸が苦しそう」などの場合は、すぐに119番に連絡して救急車を呼んでください。

※初めて発作を起こした方や、お子さん・高齢者の方で体調変化がある場合も、迷わず医療機関に相談を。

 

大切なポイント:発作の記録

発作時に可能な限り記録しておくことで受診時に正確な情報を医師に伝えることができます。

しかし、突然の出来事に冷静にこれらを記憶しておくことは難しいと思います。

ですので、患者様のご家族などに事前知識として「発作を目撃したときはスマートフォンで動画を撮影していただくこと」 をおすすめしています。

てんかんかどうかを医師が判断するうえで目撃情報や動画が診断の決め手となる場合があります。

※はじめて経験する場合は特に、突然の発作で撮影が難しい場合がほどんどです。

もし記録できなくても医師がゆっくりお話を伺いますので、ご安心ください。

【参考(外部サイト)】

▶︎ ユーシービージャパン株式会社:動画で知ろう|てんかんinfo(tenkan.info)

 

受診の目安

てんかんは、たった1回の発作でも脳の病気が隠れている可能性があります。

以下のような場合は、早めに専門の医師へご相談ください。

  • 初めて意識を失った・けいれんした

  • 眠っているときに体がビクッと大きく動くことがある

  • 「ぼーっとしている」「反応がない」時間が繰り返される

  • 頭部外傷後に発作が起きた

  • 既にてんかんと診断されており、発作が頻繁になった・長引く

受診が遅れることで、日常生活や学業・仕事に支障が出ることもあるため、早めの対応が大切です。

 

てんかん発作の主な症状

全般発作(脳全体が一気に興奮)

強直間代発作(きょうちょくかんだいほっさ)

いわゆる「全身けいれん発作」として知られています。

  • 突然意識を失い、手足をつっぱらせた後、ガクガクとけいれんする発作です。
  • 白目をむいたり、口から泡を吹いたりすることがあります。
  • 発作中に舌をかんだり、尿をもらすことも。
  • 通常は数分以内に自然におさまりますが、発作後はもうろう状態になったり、強い眠気が現れたりします。

よく知られた症状ではありますが、すべてのけいれんがてんかんとは限りません。

他の原因で似た症状が起きることもあるため、専門医の診察が重要です

 

欠神発作(けっしんほっさ)

特に小児に多く見られるタイプの発作です。

  • 数秒間ぼーっとして動きが止まり、呼びかけにも反応しなくなります。
  • 発作が終わると何事もなかったかのように元の動作に戻ります。
  • 学校の授業中などでは「集中していない」と誤解されやすいため、注意が必要です。

 

脱力発作

体の力が一瞬で抜けて、突然ぐったりする発作です。

  • 急に膝が折れて倒れる、頭がカクンと下がるなどの動きが見られます
  • 発作時間はごく短く、数秒程度のことが多いです
  • 意識はあることもありますが、発作によって一時的に失われる場合もあります
  • けがをしやすいため、安全な環境づくりが大切です

このタイプの発作も「てんかん」の一種であり、見過ごされたり誤解されることがあるため、繰り返す場合は早めに医師へ相談しましょう。

 

ミオクロニー発作

  • 手や足、体の一部がピクッと一瞬だけ動く発作です。
  • 物を落としたり、転んだりすることで気づかれることも。
  • 意識障害はほとんどないか、一瞬のため判断しにくいです。

特に朝方に多い場合は、「若年ミオクロニーてんかん」という病気の可能性もあります。

 

部分発作(焦点発作)

焦点意識保持発作単純部分発作
  • 意識は保たれたまま起こる発作です。
  • 一部の筋肉がけいれんしたり、ピリピリするような感覚が出たりします。
  • 見えないものが見える・匂いがするなどの感覚異常(幻覚)や、不安感・デジャブ感を訴えることもあります。

 

焦点意識減損発作複雑部分発作
  • 意識がぼんやりし、反応がなくなる発作です。
  • 数十秒〜数分ほど続き、口をモグモグ動かしたり、手足を無意識に動かすなどの動きが見られます。
  • 特に高齢者に多くみられ、大人のてんかんで最も頻度が高い発作とされています。

 

焦点起始両側強直間代発作二次性全般化発作
  • 単純または複雑部分発作から始まり、最終的に全身けいれんを伴う発作に進展するタイプです。
  • 最終的には「強直間代発作」と同様の症状が現れます。
  • 治療の選択に影響するため、経過を把握することがとても重要です

 

てんかん発作の前兆(前駆症状)

てんかんの発作には、「前兆(予兆)」がある場合もあります。

患者さま本人やご家族が早めに気づくことが、事故やけがの予防につながります。

前兆としてよくある症状
  • 視覚異常(光がチカチカ見える、視野が狭くなる)
  • 嗅覚異常(焦げたような匂い)
  • 不安感・胸騒ぎ・デジャブ感(見たことがある感覚)
  • 頭がぼーっとする、意識が遠のくような感覚

これらの前兆があるときは、安全な姿勢をとる、周囲に知らせるなど、早めの対応が大切です。

 

てんかんの原因

てんかんの原因は大きく次の2つに分かれます。

症候性てんかん(原因がある)

  • 脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷の後遺症
  • 脳の先天異常や感染症(髄膜炎など)
  • 認知症(特にアルツハイマー病)に伴う場合も

特発性てんかん(原因がはっきりしない)

  • 小児~若年に発症することが多く、脳の構造や検査で異常が見られない場合も
  • 遺伝的要因が関与している可能性もあります

特に高齢者では脳の加齢変化によるてんかんもあり、「高齢発症=認知症」ではないことに注意が必要です。

 

てんかんと間違われやすい病気

てんかんは他の病気と似たような症状が出ることもあります。

たとえば…

  • 失神(立ちくらみや血圧低下など)
  • 睡眠障害(レム睡眠行動障害など)
  • 心因性非てんかん発作(強いストレスが原因で起こる発作様症状)

「けいれん=てんかん」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。

例えば、発熱による熱性けいれん、血圧の急激な変化による失神、心因性(ストレスなど)によるけいれんのような動きなどもあります。

だからこそ、「けいれんがあった=てんかん」と自己判断せず、脳神経の専門医による診断がとても重要です。

 

小児のてんかん

お子さんの「突然ぼーっとする」「呼びかけに反応しない」「体がぴくっとする」といった症状は、てんかんの可能性もあれば、そうでない場合もあります。

成長や発達にともなう一時的な現象の場合もありますが、繰り返し見られる場合は早めにご相談ください

当院では小児の脳神経系診療も行っています。

必要に応じて小児科や専門機関と連携して対応いたします。

頭痛や頭部外傷も専門診療が可能ですので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

 

高齢者のてんかん

高齢者にも、てんかんは珍しくありません。

実は、米国や欧州などの疫学研究によると、てんかんは子どもよりも高齢者に多いというデータもあり、近年注目されています。

70歳以上では年間発症率が10万人あたり100人以上、80歳以上になると150人以上という報告があります。

これは子ども世代よりも高い発症率であり、てんかんは実は「高齢者に多い病気」であることが分かります。

たとえば、

  • 「急にぼーっとする時間が増えた」
  • 「話しかけても反応がない」
  • 「最近、物忘れや混乱が目立つようになった」

このような症状が続いていると、一見“認知症”と思われがちですが、実はてんかんの発作である場合があります。

 

認知症と見分けがつきにくいことも

高齢者のてんかんでは、「けいれんを伴わない発作(非けいれん発作)」が多く見られます。

これは、周囲から気づかれにくく、「加齢によるもの」「認知症が進んできたのかも」と誤解されることがあります。

しかし、専門医の診察でてんかんと診断され、抗てんかん薬を服用したところ、反応が良くなった・認知機能が回復したというケースも実際にあります。

 

「もしかして…」と思ったら、早めの相談を

てんかん=子どもだけの病気ではありません。

こんな場合は、早めに専門医へ相談することをおすすめいたします。

  • 「最近、ぼーっとしている時間が多い」「反応が鈍くなった」と思ったとき
  • 急に動きが止まったり、視線が一点を見つめるようなことがあった
  • 特に高齢者で、認知症と診断されているが症状に改善が見られない場合

「認知症かもしれない」と感じた時、すぐに決めつけるのではなく、てんかんの可能性も考慮し、脳神経の専門医へ相談することがとても重要です。

当院では、脳神経内科・脳神経外科の専門医が、症状を丁寧に確認しながら、必要に応じて脳波検査や画像検査(CT・MRI)を行い、適切な診断と治療方針をご提案いたします。

▶︎ 認知症について詳しく見る

 

てんかん発作のきっかけ(誘因)

てんかんの発作は、何もないときに起きることもありますが、特定の状況や刺激が引き金になることもあります。

日常生活での注意によって、発作の回数を減らせる可能性があります。

発作を引き起こしやすい要因

  • 睡眠不足:最も多い誘因の一つです
  • 強いストレス:精神的負担が影響することもあります
  • 光の刺激:テレビやゲームなどの画面の点滅など
  • 発熱・体調不良:感染症や風邪による発熱
  • 飲酒・アルコールの過剰摂取や中断
  • 薬の飲み忘れ・中断:抗てんかん薬の自己中止は危険です

発作の誘因は人によって異なります。

発作が起きた状況を記録しておくことで、原因を探りやすくなり、予防にもつながります。

 

てんかんと日常生活

てんかんがあっても、治療と生活の工夫次第で、日常生活は十分可能です。

学校・仕事

  • 発作のコントロールができていれば、多くの場合問題なく通学・就労可能です
  • 教師や上司にあらかじめ共有し、発作時の対応を伝えておくと安心です

自動車運転

  • 医師の診断と一定期間発作がないことが条件です
  • 運転免許の取得・更新には医師の診断書が必要になる場合があります(道路交通法に基づく)

医師と相談しながら、安心して社会生活を送れるようにサポートいたします。

日常生活での注意点

  • 睡眠不足、過度なストレス、過剰な飲酒は避けましょう。
  • 光刺激(点滅など)で発作が誘発される人もいます。
  • お薬は自己判断で中断せず、医師の指示に従って服薬を続けることが重要です。

 

診療の流れ

STEP1. 予約(WEBまたはお電話)

予約なしの当日受診も可能ですが、混雑状況によってはお待ちいただく場合がございます。

診察へのスムーズなご案内のため、事前予約をお勧めしております。

 

STEP2. 受付・問診票の記入

→ 診療へのスムーズなご案内のため、事前問診にご協力ください。

WEB問診はこちらから

→ WEB問診が難しい場合は紙問診のご用意もございますので、ご安心ください。

ご自宅で印刷して記載されたい場合は以下をご利用ください。

紙問診のダウンロードはこちらから

 

STEP3. 問診

発作の様子や頻度、起こりやすい時間帯、誘因(きっかけ)、持病や服薬歴などを詳しく伺います。

 

STEP4. 必要に応じた検査

  • 脳波検査(EEG):脳の電気的な活動を調べます。
  • CT・MRI検査:脳に腫瘍や異常がないかを調べます。
  • 必要に応じて血液検査や心理検査を行う場合もあります。

※必要に応じて、系列のえびな脳神経クリニック(海老名駅徒歩1分)での脳波検査やMRI撮影をご案内しております

当院のCT検査について

 

STEP5. 診断と治療方針の決定

  • 発作の種類と原因に応じて、薬物治療を中心に行います。
  • 抗てんかん薬は、数ヶ月から年単位で服用を続ける必要があります。
  • 発作の種類によって使用する薬が異なりますので、自己判断での服薬中止は危険です。

 

STEP6. 会計・次回予約などのご案内

現金もしくはクレジットカード(ご一括のみ)をご使用いただけます。

 

初診時の費用(自己負担1〜3割)

内容 1割負担 2割負担 3割負担
初診(診察のみ) 350円 700円 1,000円
初診+CT検査 2,000円 3,600円 5,300円
初診+血液検査など 500〜850円 1,000〜1,700円 1,500〜2,500円
初診+CT検査+血液検査+処方箋 3,000円 4,600円 7,000円

※費用は症状や検査内容により前後します。目安としてご覧ください。

 

その他ご案内

  • お支払いは現金またはクレジットカード(ご一括)がご利用いただけます。
  • 初診の診察時間は、問診・診察・必要に応じた検査(CTなど)を含めて30〜60分程度が目安です。
  • えびな脳神経クリニックにて脳波検査とMRI検査を行った場合は、診察料含めおおよそ3,500~10,000円程度(自己負担割合:1~3割)です。

 

当院の外来診療について

てんかんは、正しい知識と治療によってコントロールできる病気です。

患者さん本人だけでなく、ご家族や周囲の方が理解し、発作の特徴や起きた時の対応を知っておくことがとても大切です。

海老名・座間・綾瀬・厚木周辺で気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

※外来休診日:木日祝
※最終受付時間について
 –初診:診察終了1時間前まで
 –再診:診察終了30分前まで

 

 

あわせてチェック!

当院を初めて受診される方へ

▶︎ 外来診療に関するよくある質問

アクセス

 

よくある質問(FAQ)

Q1. てんかんは治りますか?

A. 症状や発作の種類によって異なりますが、約70〜80%の人は、適切な治療で発作をコントロールできます。

中には薬の服用を続けることで発作が起こらなくなり、薬をやめられる方もいます。

Q2. てんかんの人は運転できますか?

A. 一定期間発作がないことや、医師の判断に基づいて運転免許の取得・更新が可能になる場合もあります。

詳細は都道府県の運転免許センターへ確認が必要です。

Q3. 子どもがてんかんと診断されました。学校生活に支障は?

A. 多くの場合、発作がコントロールされていれば普通に学校生活を送れます。

教員への情報提供や、発作時の対応方法を共有しておくことが大切です。

Q4. 発作を動画で撮るのはなぜ大事なのですか?

A. 発作の診断では、脳波やMRIだけではわからないことも多く、実際の発作の様子(動画)が非常に役立ちます。

医師が正確に判断し、適切な治療方針をご提案するための大きな手がかりになります。

Q5. 高齢の親が最近ぼーっとする時間が増えたのですが、てんかんの可能性はありますか?

A. はい、可能性があります。

高齢者のてんかんは「全身けいれん」のようなわかりやすい症状よりも、意識がぼんやりする・反応が鈍くなるといった軽い発作が目立つことがあります。

そのため、認知症と誤解されやすく、見逃されがちです。

近年の研究では、高齢者のてんかんは子どもよりも多いことが分かっており、特に脳梗塞や加齢による脳の変化が原因になるケースが増えています。

「最近、急に反応が鈍くなった」「会話中に突然止まる」「無意識に口や手を動かしている」などの様子があれば、一度、脳神経内科・脳神経外科の専門医の診察を受けることをおすすめします。

 

【参考ページ(外部ページ)】

日本神経学会:てんかん診療ガイドライン2018

日本神経学会:てんかん診療ガイドライン2018追補版2022

日本神経学会:(疾患・用語編)てんかん(neurology-jp.org)

▶︎ ユーシービージャパン株式会社:てんかんinfo(tenkan.info)

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