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麻痺

このページを書いた人:院長 西山 淳

  • 日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医・指導医
  • 日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医・指導医
  • 日本がん治療認定機構認定 がん治療認定医
  • 日本認知症学会認定 認知症専門医・指導医
  • 日本神経内視鏡学会認定 技術認定医
  • 日本脳神経外傷学会認定医 神経外傷専門医・指導医・評議員
  • 日本頭痛学会認定 頭痛専門医・指導医・代議員
  • 日本医師会認定 産業医

 

このページでは、麻痺とは何か、主な原因や症状、対処法や受診の目安までをわかりやすく解説しています。

気になる症状がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

麻痺とは、手足や顔など身体の一部、または広範囲にわたって「動かせない」「動きにくい」といった運動機能の低下や喪失がみられる状態を指します。

筋力の低下に加え、感覚の鈍さやしびれを伴うこともあり、神経や筋肉の異常が原因となっていることが多いです。

一時的な麻痺もあれば、脳卒中などによって永続的に障害が残るケースもあり、早期診断と治療が極めて重要です。

受診を急ぐべき麻痺のサイン(緊急性が高いもの)

麻痺の中には、ただちに医療機関を受診すべき「危険な麻痺」があります。

特に以下のような症状がある場合は、脳卒中や脊髄疾患の可能性があり、時間との勝負となるため一刻も早い受診が必要です。

 

危険な症状

考えられる原因例

突然、片側の手足に力が入らなくなった

脳梗塞、脳出血など脳血管障害

顔の片側が動かない・口元が垂れる

顔面神経麻痺、脳卒中

ろれつが回らない、言葉が出ない

脳卒中(特に左脳の障害)

両足が動かなくなり、排尿・排便が困難になった

急性脊髄障害、脊髄炎

麻痺と同時に激しい頭痛やしびれを伴う

くも膜下出血、脳腫瘍

 

📝 補足:

  • 「突然」「これまでにない」症状が出たときは、自己判断せず救急受診を検討してください。
  • 特に高齢者、高血圧・糖尿病などの基礎疾患を持つ方はリスクが高いため、注意が必要です。

 

脳卒中の早期発見に役立つ合言葉:FAST

脳卒中の可能性があるときにいち早く気づくためのチェック方法「FAST」は、以下の4つの観点を覚えておくと便利です。

これらの症状のうち1つでも当てはまれば、脳卒中の可能性は70%以上とも言われています。

早期に治療を受けることで、回復の可能性が高まります。

厚生労働省や日本脳卒中学会も広く啓発している内容です。

【参考】

厚生労働省「みんなで知ろう!からだのこと」

日本脳卒中学会「脳卒中の予防・発症時の対応」

 

麻痺の症状セルフチェック

麻痺の症状は部位や原因によってさまざまです。

以下のチェックリストでご自身の状態を確認してみましょう。

 

症状のタイプ

チェック内容

筋力の異常

□ 手足に力が入らない、物を落としやすい

 

□ 歩きにくくなった、ふらつく

 

□ 表情が片側だけ動きにくい

感覚の異常

□ 同時にしびれや感覚鈍麻がある

 

□ 片側の手足や顔だけに違和感がある

発症の経過

□ 急に麻痺が現れた(数分〜数時間で悪化)

 

□ 徐々に進行しているが改善しない

その他の症状

□ 呂律が回らない、言葉が出にくい、、よだれが片方の口角から垂れる

 

□ 排尿・排便障害を伴う

※1項目でも該当する方は、神経系の異常が疑われる可能性があります。早めの受診をおすすめします。

 

麻痺の主な症状

麻痺には大きく分けて「完全麻痺(全く動かない)」「不全麻痺(ある程度動くが制限される)」の2種類があり、部位や程度によってさまざまな症状が現れます。

  • 手足が動かしにくい
  • ボタンをかけるなど細かい動作ができない
  • 顔の左右差(片側だけ動かない、目や口元が垂れる)
  • 歩行が不安定になる、つまずきやすい
  • 立ち上がるのに時間がかかる
  • 表情が乏しくなる(顔面麻痺)
  • 話しにくさ、呂律のまわりにくさ

麻痺の部位や現れ方に応じて、障害されている神経系の部位を特定していきます。

 

麻痺の原因

 脳や脊髄など中枢神経の異常

脳梗塞・脳出血:突然の片側の麻痺や言語障害、意識障害が出現します。

くも膜下出血:激しい頭痛とともに意識障害や麻痺が現れることがあります。

脳腫瘍:ゆっくりと進行する片側の麻痺やけいれん、視覚・言語障害が出現することがあります。

脊髄炎・脊髄損傷:両下肢の麻痺、排尿・排便障害を伴うことが多く、急性発症することも。

多発性硬化症(MS):視力障害や手足の脱力・しびれなどが再発と寛解を繰り返します。

末梢神経や神経筋接合部の異常

顔面神経麻痺(ベル麻痺):片側の顔面が動かしづらくなり、目が閉じにくい、口元が垂れるなどの症状が出ます。

ギラン・バレー症候群:足から始まる左右対称の筋力低下が急速に進行し、呼吸筋麻痺を起こすことも。多くは風邪や胃腸炎の後に発症します。

筋肉の障害や全身疾患

筋ジストロフィー:遺伝性の筋疾患で、主に小児期から徐々に筋力が低下します。

重症筋無力症:自己免疫による神経筋接合部の障害で、疲れやすさと筋力低下が特徴。目のまぶたが下がる、話しにくいなどの症状も。

糖尿病性神経障害:両足から始まるしびれや感覚低下に加え、筋力の低下をきたすこともあります。

 

対処法・予防法

応急対処

  • 突然の麻痺 → すぐに医療機関へ。時間との勝負です(脳卒中など)
  • 軽度の症状や徐々に進行している場合 → なるべく早く受診し、原因精査を

日常でできる予防

  • 脳卒中リスクを下げる生活習慣(高血圧・糖尿病の管理、禁煙)
  • バランスのとれた食事と十分な水分摂取
  • 適度な運動・体調管理・ストレス軽減
  • 規則正しい生活・十分な睡眠

 

診療の流れ

  • 問診

発症時期・進行具合・生活への支障などを伺います。

 

  • 身体診察・神経学的検査

筋力、反射、歩行バランス、顔面・四肢の動きなどを確認します。

 

  • 必要に応じた検査

MRI・CT:脳出血・梗塞・腫瘍などの有無を調べます。

血液検査:自己免疫疾患、感染症、糖尿病などのスクリーニング

神経伝導検査・筋電図:末梢神経・筋疾患の評価

当院のCT検査についてはこちらから

※必要に応じて、系列のえびな脳神経クリニック(海老名駅徒歩1分)でのMRI撮影も可能です。

 

  • 診断・治療方針の決定

脳卒中であれば地域の基幹病院と連携し、早急に治療を開始します。

顔面神経麻痺や自己免疫疾患であれば、薬物療法やリハビリテーションなどを検討します。

 

よくある質問(Q&A)

Q1. 突然手足が動かなくなったらどうすればいい?

A. 脳卒中の可能性があるため、すぐに救急受診を。

Q2. 顔の片側だけが動かしにくいのは何の病気?

A. 顔面神経麻痺や脳卒中が疑われます。

 Q3. 徐々に歩きづらくなっています。放置しても大丈夫?

A. 脊髄疾患や神経疾患の可能性があり、検査が必要です。

 Q4. 麻痺は治りますか?

A. 原因によっては回復が期待できます。早期治療が重要です。

Q5. 麻痺があってもしびれがないのは問題ない?

A. しびれがなくても運動神経の障害による麻痺の可能性があります。症状に気づいたら受診しましょう。

Q6. どの診療科にかかればいいですか?

A. 脳神経外科または脳神経内科の専門医がいる医療機関をおすすめします。

 

まとめ

麻痺は一見軽く見える症状でも、重大な病気のサインであることがあります。

気になる症状があれば早めにご相談ください。

当院では、脳神経外科・脳神経内科の専門医による丁寧な診察と治療に努めています。

海老名・座間・綾瀬・厚木周辺でお悩みの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

 

👉 同じく神経系の症状である「しびれ」 や 「頭痛」についても、受診が必要なケースがありますので併せてご確認ください。

しびれ|原因と受診の目安をわかりやすく解説

頭痛|タイプ別の原因と受診の目安

 

【参考】

日本神経学会「標準的神経治療・診療ガイドライン」

日本神経治療学会「顔面神経麻痺ガイドライン」

日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021」

 

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